リストラをはじめようとする企業から、いち早く脱したTさんを待っていた悲劇とは。ビジネスはスピードが勝負と言われている。しかし時には立ち止まってみることも必要だ。ひょっとしたら思わぬ拾いモノがあるかもしれない。二十八歳のTさんは、外資系通信機器メーカーA社でプリセールスエンジニアとして働いていた。数力月前、本国の株安が引き金になり、A社の業績は大幅な減収に転じた。本社ではリストラが行われ、日本でも人員削減が始まるのは時間の問題と噂されるようになっていた。
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「大勢のA社社員が転職をはじめる前に動き出した方が有利だ」と考えたTさんは、スピード勝負で会社探しをはじめた。実際、通信関連の求人ニーズが減ってきている時期だったので、先んじて転職活動をスタートさせたのは、Tさんの英断であると我々も思っていた。一日も早く転職を決めようとするTさんは積極的に面接にまわり、いくつかの応募先の中からB社のプロダクトサポート職を選択した。給与は外資のA社にはだいぶ劣るが、今までの経験を活かせるという意味では、B社の仕事は最適なポジションで、内定が決まった時にはTさんは大いに満足していた。